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Workshop

ワークショップ

進行 : 塩飽千丁

開催日
2025年6月29日(日)
開催場所
旧後藤邸

進行・記録:塩飽 千丁

1.ゆうたくん(シンセサイザー)ソロから全員へ
ゆうたくんのシンセサイザーソロではじめて、少ししたらタイミングをみながら一人ずつくらいで入るようにお願いして開始。
「うんいいよ」と、ゆうたくんは決して断らない。彼のたたく小刻みなリズムは、誰も気づいていなかっただけでずっと前から鳴っていたものをただとり出してきただけのような自然さがある。彼以外のメンバーは、別に神経を研ぎ澄ましているわけではないけれども、彼のリズムとの関係で自分の音を探っていくように加わっていく。グルーヴのないゆうたくんのリズムは強靭で、決して誰の音も壊さず、誰からの侵入によっても壊されない。そして彼の不協和音は決して際立たず、それでいて埋もれない。
結局15分以上やっていたので、途中そこかしこで集中力が切れていたり、不意に活気をとり戻したり、そして近くの人同士で揺れあったり別れたり、また自分の居場所を見つけたりしていた。
今回はじめて参加していたダウン症の小学生のそうたくんは、武器を持つかのように楽器を持って音と戯れていたが、この時点ではまだお母さんの方しか向いていなかった。

2.藤本さん(歌とトロンボーン)ソロから全員へ
続いて藤本さんに先導してもらう。他の人は太鼓以外の楽器で入るようお願いする。太鼓を布で覆っておくという案をもらい、ドラムやジャンベなどを見えないようにして開始。
早速藤本さんは自前のトロンボーンを腕に引っかけて名曲を歌いはじめる。彼の歌声は太いが優しく、そのためひとつでも楽器が入るとすぐにかき消されて、その場にあってもなくてもよいものになる。あってもなくてもよいという彼の存在感はとても芸術的な様なのでわたしはとても気に入っている。他のメンバーには太鼓以外で入るようにと伝えていたものの、太鼓以外の楽器もたたく楽器が多く結局最初のセッションと似た形になる。それでも最初のものと違ったところは、一般参加の方を含めみんな遠慮がなくなってそれぞれ自分のやりたいことをやっていることだったように思う。
一通り歌い終わった藤本さんは、ここではないどこかに向けてトロンボーンの音を発していた。

3.ゆりちゃん(鍵ハモ)、西やん(リコーダー)、吉見くん(リコーダー)、学生さん(リコーダー)
トロンボーンを下ろした藤本さんが再度歌いはじめるが、それはなくてもよいがあってもよいBGMということにして、私は進行役をまっとうする。ゆりちゃんに鍵盤ハーモニカをお願いし、今度こそ強いリズムのない演奏にしようと、たまたまリコーダーを持っていた3人にリコーダーを吹いてもらう。吹く楽器のみのパフォーマンス。
4人は他の人から不意に眼差しを向けられ、それぞれ「え?どうしたらいいの」という戸惑いを隠しきれない。その戸惑いがしばらく漂い、ゆりちゃんは数分で終わろうとするが、もう少し続けるようにわたしからお願いする。これまでのふたつのセッションとはうって変わって、感情の発散はないままそれぞれの音が行く当てがなくさまよう。それだけに、それぞれがなんとかどこかに着地しようと神経を集中しているようにも見えた。

少し長めの休憩(役所の人との交流)

4.あやちゃん(パフォーマンス)から全員へ
後半一発目。進行役はお役御免で、あやちゃんの司会パフォーマンスが口火をきる。その後なだれ込みでみんなの合奏になる。とにかく、みんなやりたくてうずうずしていることがよくわかる。
後半から到着したメンバーも数人おり、いつもの音遊びの会らしさが存分に発揮される。一般参加の方々も音遊び会の本領に感化されたようで、小学生のそうたくんも、いつしかお母さんのほうだけではなくみんなのほうを向いていた。

5.ちかちゃん(大太鼓)ソロから全員へ
後半二発目。後半から参加していたちかちゃんに大太鼓をお願いし、前半2回目のセッションとは反対に太鼓だけで参加するようにみんなに伝える。
大きなマレットで打つ大太鼓のエネルギーはやはりすごく、みんなの感情をかき立てている。永井くんのドラムセットのバスドラムも力強く、オレについてこいという煽動力がある。そのうちちかちゃんやゆりちゃんが近くにあった木琴も叩いており、途中から太鼓だけはなくなっていたが、いつしかそれまで比較的自分を押し殺していた学生さんが永井くんとドラムバトルをはじめていた。

6.長井くん(ドラムセット)と学生さん(フロアタム)
永井くんと学生さんのドラムバトルがカッコよかったのでみんなの演奏を強制的に止め、二人のバトルをみんなで見ることにした。
まさにバトル。おそらく学生さんは打楽器経験者なのだろう、打面にメモ帳を置いて音を引き締めすさまじい連打をかます。永井くんも全身全霊で叩き、緩急をつけ応戦する。路上のフリースタイルラップバトルを見ているようで、その場の全員が固唾を飲んでパフォーマンスに引き込まれていた。最後はお互いの動きを見つつあうんの呼吸で終わる。

7.そうたくん(ドラムセット)とたひちゃん(同じドラムセット)
ドラムバトルの興奮も冷めやらぬ中、アリさんの勧めでそうたくんにドラムを叩いてもらう。もうひとりたひちゃんにもお願いする。
そうたくんは母親のもとを離れ、先ほどまで永井くんの相棒だったまだ熱気を帯びたドラムセットに臆せず座り、スティックを握ったかと思うと、まるで伝説の老ドラマーかのように猫背になってドラムのご機嫌をうかがう。一方のたひちゃんは遠慮なくフロアタムをドンドン言わせはじめる。もしかするとそうたくんは、直前の永井くんのマネをしていたのかもしれないが、小さい音と大きい音を使い分けながらドラムのポテンシャルを引き出している。とくにスティックをそっと置いてくるようなピアニッシモのアタックには度肝を抜かれた。たひちゃんは近くのいるものを自分の領域に引き込む術を心得ているが、このふたりが一つのドラムセットを演奏している様は、直前の二人のドラムバトルとの比べると、ドラムの上に音を召喚する儀式をしているようだった。

8.吉見くん(トランペット)ソロから全員へ
最後は吉見くんに全体を引っ張ってもらう。
みんな楽しそうにやっていたと思うが最後のセッションはほとんど記憶に残っていない。ふたつ覚えていることがあるとすれば、しばらく床の間に鎮座していたたいせいくんが動いていたことと、藤本さんが仁王立ちになり外の海のほうをしばらく眺めていたことくらいだろうか。
以上。

更新日 : 2025.06.29

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