ワークショップ
2024年 6月9日(日)音遊びの会WS @ふたば学舎
進行:岩下徹 | 記録:にしやん
参加メンバー
金澤 里紗|後藤 佑太|坂口 智基|高山 優大|富阪 友里
濵 翼|平塚 織音|藤本 優|三好 佑佳|吉見 理治|若林 金親
飯山 ゆい|黒岩 可奈|島村 文音|関本 彩子
西谷 充史|橋本 麻希|みやけをしんいち|森本 アリ
この日は年に一度の音遊びの会の総会が行われ、その流れで多くのメンバーが参加したWSになりました。進行はダンサーであり音遊びの会メンバーでもある岩下さんです。
まずは椅子を円形に並べて、それぞれが好きな場所に好きな楽器を持って着席してWSスタート。
1、はじめに静寂を聴く、沈黙を聴く
メンバー全員が音を立てずに静かにする。初めはざわついていた空間から話し声が消え、楽器の音も少なくなり、物音も減っていく。静かな瞬間の連続から、いくつかの静かな時間の連鎖へ。最終的にはみんなで静寂を認識したような時間が流れ、ハプニング的に聞こえる音を聞いてる感じ。長く感じたけども4:33。
2、ウォーミングアップ、岩下さんが円の周りを踊り歩き、それに合わせて演奏する
岩下さんの身体の動きや目線によって合図というより、演奏の意欲が掻き立てられる感覚。
目の前を踊り舞いながら横切られると自然と演奏にも力が入っている様子。
音に伸びのある管楽器が目立つけど、打楽器、弦楽器もいい感じで効いている。楽器を色々持ち替えている人もいる。
3、岩下さんが1人を指名し、指名された人が順番に演奏
金親:バイオリン→ゆり:マンドリン→織音:太鼓→藤本:ダンス&ポーズからトロンボーン→吉見:トランペット→りさ:手持ち和太鼓→高山:ギター→佑佳:太鼓→みやけを:サックス→関本:マラカス→翼:スリットドラム→智基:太鼓→アリ:木の実マラカス→佑太:木の太鼓→鈴木:アコーディオン→島村:ボンゴ(順番うろ覚え、)
からの一周ぐるり順番にゆっくり演奏。一人一人の音だったり、重なったり、同時多発だったり。
4、1人ずつバトンタッチで順番に演奏
前の人が演奏を終えると次の人が音を出す。音を出すポイントが1つになったり、2つになったり、途中に空白が生まれたり。最初に行った演目の静寂の時間がまず存在して、その静寂を埋めていくような演奏に感じる。
5、音を短く、順番に演奏
ポンと大きく太鼓を鳴らしたり、プーと一息で管楽器を吹いたり、床を足で叩いたり。
一応音を短くだけど、長ーい音を出す人もいたりして、その響き渡る音の上に短い音が乗っかったり、そろそろ他の楽器が気になるのか、みんな楽器を持ち替えたり。
6、ユニゾン演奏、誰かの音に誰かが被せる演奏の連続
前の人の演奏を追いかけたり、追いついたりで、演奏の追いかけっこのような感じがした。
大きな音の演奏にならないのは、「みんなで演奏をする」の概念ではなくて、それぞれが個人としての演奏を行なっているからだろう。翼くんの歌が漂うようにどこからか聞こえてくる。誰かが誰かに合わせて音を出している。
7、エアアンサンブル
今まで持っていた楽器を置いて、楽器を持っているかのようにエアで移動しながら演奏を行う。
最初にやった演目と同じで楽器の音は鳴らさない静寂なのだけれど、こちらは「動」の静かさで、静かではあるけど賑やかな演奏。ところどころでエアセッションも生まれてたりでお互い何かを共有している感覚がおもしろい。見えないけど見えているし、聞こえてないけど聞こえている。
【進行 岩下さんより】
◆会場設定
総会の為円形に配置された椅子の並びの円周を少し小さくして下さったので、そのセンター付近に鳴り物等の小さな楽器を置いて頂く。
※ドラムセット、”エレキ” 等の大音量が出る楽器は使用をお控え頂いた。
0.いつものように、好きな楽器を手に取り着席、好きなように音出しをする。
1.”静かにする”←鈴木勝氏のプログラムより
→『4’33”』(4分33秒)持続。「和田岬会館」の時とは違った音が聴こえた。
2.次に、センターで岩下が’コンダクター’になり、音や声を出す人(動く人)を選んでゆく。
→’コンダクター’の岩下を見ず演奏されていた方も居られ、また岩下の促し(指名?) が必ずしも明瞭でなかった為か…? 即座の反応が起きない時も有り、やや緊張感が薄かった。
3.今度は、’コンダクター’無しでこのソロのリレーをやってみる。
※原則的に、他の誰かの音をジッと”聴く”、その上で「ここだ!」と感じたら、自分の音を出すように試みて頂く。
→全体的に、様々に音が飛び交い、皆様が交信しておられるように感じた。が、時に「躊躇」や「当惑」等も有ったように思われ、その時は少し「間が抜けた」ように感じた。
4.ひとつ前の3.を、出来るだけ短い音(シングル・ノート?) でやってみる。
→大きく鋭い音も有った為か?「間が抜けた」感が無くなり、良い緊張感が生まれたと思う。
5. ひとつ前の4.を続けながら、全員で”静寂”(沈黙)を共有してみる。
→4分半ほど過ぎた辺りで”静かに”なった。そのことで、全員がひとつの場を共有して頂けたのでは…?
6.誰かが出した音に”ユニゾン”してみる。それをしているうちに、また誰かが異なる音を出し、自然に次の”ユニゾン”に移り変わってゆく。
→初めて試みさせて頂いたが、演奏中いつも”ユニゾン”の「中心」が移動し、常にその数も増減し、絶えず生成変化が興り、文字通り<多中心>の世界が出現! 新たな可能性を感じた。
7.全員で’コンダクター’の居ない”エアー・アンサンブル”を試みる。
→好きな楽器を演奏している身振りから始まり、それが徐々に大きくなり、次第に崩れ、そしてそれが歩いて移動しながら続けられているうちに、”コラボ”が2、3組ほど自然に生まれ、場が賑やかになった。
『音、沈黙と測りあえるほどに』(武満徹) ではないが、矢張り”音”と”沈黙”とは、同一平面上に有り(或いは表裏一体、相即不離?) 、対等 (同等、同格) な関係にあり互いに均衡を摂っているのでは…? と改めて感じた。音はいつも常に絶えず静寂に伴われて…!?
6.誰かが出した音に”ユニゾン”してみる。それをしているうちに、また誰かが異なる音を出し、自然に次の”ユニゾン”に移り変わってゆく。
では、例えば私は藤本さん(また最近、演奏が変わられたのでは…?) にも”ユニゾン”してみた積もりだが、何しろ私が手にしていたのは、小さな黒い金属製の筒の打楽器。それで、彼の演奏に本当に共鳴・共振出来たのか…? 甚だ心許ないが、ここ(音遊びの会)では必ずしもその正確無比なることを求められるのでなく、そうしたい!という欲望・衝動こそが尊ばれる と独り言(ご)ちた。
自分以外の誰かAに共鳴し、それがまた他の誰かBに伝わっていき、そしてまた他の誰かCと共振し、それが他へと拡がり、やがてその場全体が様々な波動で包まれて…
7.全員で’コンダクター’の居ない”エアー・アンサンブル”を試みる。
では身体性がグッと強まった。以前は2、3名を除き殆どの方が踊ることに尻込みされていたのだが…。”エアー・アンサンブル”の動きが楽器演奏のそれから始まり有機的に変容してゆく試みは、踊りへのハードルを少し低くして呉れるかも知れない、と改めて思った。 また里紗さんや翼さんの’存在’ (時に、大生さんも…?) は、それ自体が既に踊りであり音楽である、とハッキリ捉えられる。
「ダンスはうまく踊れない」のに、踊れるのか…?
はい、踊れる! と思います。
踊れないのも踊りだし、踊らないのも踊りでしょう。
ならば、踊りは至る処に有るし、そして音楽も何処にでも在るのかも知れません。
岩下徹
更新日 : 2024.06.09