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音の海

この公演は既に終了しております

公演について
これは、音楽家と知的障害者が繰り広げる即興音楽の世界を体験するコンサートです。ホールの中で、そしてホワイエで、様々な即興アンサンブルによる演奏が行われます。いったいどんな音楽が生まれて、どのように変化していくのでしょう。耳を澄ましてお楽しみください。  
 私たちは、去年の9月に集まり、8回のワークショップを通して、12月に第1回公演「音の城」を行いました。旧乾邸という住人のいなくなった古い豪邸を貸し切り、シャンデリアのある大広間や小部屋、そして廊下や庭など各所で即興的に音楽を奏でる公演でした。  家のあらゆるところが舞台になる、ちょっと変わったコンサートでした。    
 その後、新たな4人のゲストミュージシャンを迎え、「楽しいアンサンブル作ろう!」をテーマに今年の1月から7回のワークショップを行いました。初めは、出会ったことのない相手に戸惑い、うまくいかなくて無力感に襲われる事もありましたが、また同時に思ってもいない音楽が生まれた驚きの瞬間も多くありました。そんな風に色々試すうちに、全員で演奏するピッグバンドや、アンサンブルの方法も、どんどんスタイルが変わってきました。 また、みんながだんだん仲良しになるにつれて、お互いに楽器の新しい奏法を身に付けたり、新しい共演相手を見つけたりして、しだいに第1回目の公演では見られなかったような音楽シーンがたくさん出てきました。  そうして出来上がったビッグバンドや小アンサンブルが、今日はたくさん演奏される予定です。保護者の方の楽しい演奏も聞けることでしょう。どうぞお楽しみください!

プログラム
★ホールの中で・・・・・色々なアンサンブルがあります!  
公演の最初と最後に、2種類のビッグバンドの演奏があります。それから、多種多様なアンサンブルが、メインステージと脇にできたサブステージでたくさん演奏されます。休憩が2回あり、その間にホワイエでも演奏があります。お聞き逃しなく!

★ホワイエで・・・・・お店、絵の展示、休憩時間には演奏も!  
ホワイエでは、ミュージシャンのCD、作業所で作られたかわいい小物、演奏者の一人の藤本優さんが作った陶芸作品のお店があります。CDのお店では、前回の公演「音の城」の貴重な録音も売っています。また、食べ物の販売もあります。おなかがすいたらケバブのサンドイッチを!その他、おいしいスウィーツも販売しています。  
それから、演奏者の皆さんが描いてくれた絵の展示もあります。休憩時間には、どこからかいい音色が聞こえてくることでしょう。  軽食をつまんだり、絵を眺めたり、お店をのぞいたりしながら、楽しい3時間半をお過ごしください!

プロジェクトについて
このプロジェクトは、エイブル・アート・ジャパンと明治安田生命が共同で立ち上げた、障害がある人が参加する舞台表現活動を支援する「エイブルアート・オンステージ」というプログラムの一環として行っています。全国で8つのグループが支援を受けて活動していますが、私たち「音遊びの会」は、知的障害者、即興音楽家がともに即興演奏を行うことにより、新しい音楽活動の地平を開拓しようとする取り組みを行いました。

企画
沼田里衣 (「音遊びの会」代表)

1978年生まれ。大学院から音楽療法に目覚めるのと同時に様々なスタイルの即興音楽にも興味を持ち、国内外で様々なアーティストと共演する。現在、神戸大学博士後期課程にて即興音楽療法について研究し、実践を行っている。訳書に「分析的音楽療法とは何か」(共訳、音楽の友社)、「ソフトウェア・フォー・ピープル~現代音楽へのジェンダー的論考~」(共訳、新水社)がある。

運営
「音遊びの会」メンバー

2005年4月に神戸大学の大学院生を中心に集まったメンバー。週に一度、自由に即興したり曲を作ったりして、音で遊んでいます。これまでに公園や山の中などへ演奏をしに行ったり、様々な作曲方法を試して楽しんできました。メンバーは、CDレーベルを持つ人、コミュニティーにおける即興音楽や市民で作る舞台を研究する人、高齢者との音楽療法を研究する人、様々なバンドのリーダーをこなす人などで、興味は様々。

公演にいたるまで
【15回のワークショップを経て】(文・沼田里衣)

 楽しく、生き生きとした場をいかに創出し、公演に向けて形のあるものを作っていくのかを課題に、一回一回のワークショップを進めてきましたが、そうするうちにさまざまなことが起こりました。  
 まず、初めて出会うミュージシャンのソロ演奏に、思わぬ反応を示す人がたくさんいました。音楽を聴いて、「こんな音楽、拍手なんかするもんかぁ~」とすごくハッピーで楽しそうに言う人、演奏中に楽器を乗っ取って自分の舞台にしてしまう人、そして演奏中の楽器のスイッチをつけたり消したりしだす人もいました。また、耳をそばだててないと聞こえないような静かな演奏の時には、自然と部屋全体がしぃんと静まり返りましたし、広い部屋に伸び伸びと音楽が広がっていくような演奏の時には、空気を突き抜けるような声を響かせた人もいました。ミュージシャンの音楽は、ワークショップ参加者の声や演奏が絡むと、いつもと全然違って聞こえました。  

 そんな自由奔放な彼らと演奏することは、ミュージシャンにとって、発見や驚きの連続だったようです。彼らの本当に素直な表現を目の当たりにして、「裸の個性」と言った人もいました。また、「表現とは、その人そのものと分かちがたいものなんだ」ということに改めて気付いた、という人もいました。そんなその人らしさがそのまま出た、生き生きとした音楽に接することに、何か居心地の良さを感じる人や、音楽家同士で演奏するときよりもしがらみのない自由な演奏ができると感じた人もいました。ミュージシャンにとって、参加者の音楽は、そのようにめいいっぱい自分自身を表現した、丸裸で自然なもののように感じられたのだと思います。  

 ワークショップで主に行ったことは、それぞれ好きな相手と一緒に、好きな楽器で順番に舞台に出てアンサンブルを繰り返すことでした。ミュージシャンの魂のこもった打楽器の演奏に、ノリノリのビートを刻んだり踊りだしたりした人もいましたし、かっこいい指揮をみて、その技を巧みに盗んだ人もいました。また、参加者の独特の音楽世界に触れるうちに、新しい楽器の奏法を身につけたミュージシャンもいました。ある時には、ミュージシャンが子どもたちの音楽を受け入れたり、スムーズに音楽ができるようにサポートしたりする立場にまわりすぎ、子供たちばかりが演奏に集中していた時もありました。
 そんな時に、自分も素直に、本気で自分をぶつけて演奏したい!という感想が出たこともありました。参加者の中には、「本気でやらないとな!」といつも周りに語りかけている人もいて、そんな彼らに触発されて覚悟を決めたミュージシャンも多かったようです。  ワークショップを繰り返す中で、音楽の枠組みや形式についても話し合いました。
 はじめの頃に話し合ったのは、私たちはどこからを「音楽」と認めていて、どうしたら共演者として一緒に演奏したいという実感が持てるのか、ということです。これは、あるワークショップで楽器を使わないで演奏をしてみようとした時に、お皿で遊んでいた人たちを見て、これは一緒に音楽をしていたといえるのかと疑問を呈した人がいたのがきっかけでした。  
 一体、私たちは何をもって「音楽」だと思っているのでしょうか。楽器を演奏していたら音楽をしているということなのでしょうか。楽器じゃなくても、ビートを出していたら音楽なのでしょうか。様々な意見が飛び交いましたが、あるときには、ラーメンをすすりながら、ラーメンを食べることだって音楽行為といえるよね、という説さえも出ました。  また、音楽はものとして存在するというよりは、人に何かを伝えたりするための道具なのではないか、とコミュニケーション的側面を強調した人もいました。
 そんな議論を一方で繰り返しながら、ワークショップで演奏を重ねるうちにしだいにお互いが仲良くなり、一緒に舞台に出るんだ、音楽をする仲間なんだ、と分かり合えたこと、みんなが共演者としての実感が持てたことが一番重要なことだったと思います。  

 最後に、ケアの人の役割についても触れておきたいと思います。ケアの方には、参加者一人一人の状態を把握し、楽しく演奏できるように、絶えず気を配ってもらいました。なかなか関係を持つのが難しい子でも、ケアの人がこういう風に接してみたらどうかな、といってくれるのをヒントに、面白いアンサンブルが生まれたこともありました。
 また、保護者の方とお話して、障害のことを考え合わせながら音楽表現に関する色々なヒントを教えてくれました。参加者同士が、あの人と演奏したい、この子と一緒にいたい、という親密な関係を作っていけたのは、ケアの人たちが見守ってくれていい雰囲気を作り出してくれたことがとても大きいと思います。  
 第一回目の公演では、乾邸という大きな屋敷全体を使い、思い思いの場所に即興的に舞台を作っていきました。そして今回は、舞台が明確に区切られた空間で演奏を試みます。  
 知的障害者と音楽家が出会い、様々な試みを通して私たちが体験した、新鮮で驚きに満ちた音楽空間、そんな表現の広がりを楽しんでいただければ、と思っています。

【ゲストアーティスト】
江崎將史
1969年生まれ。トランペットを金属の管であると再定義、従来忘れられてきたノイズ成分、つまり”さわり”に焦点をあて、 独自に開発したその奏法はエレクトロニクスのトーンにたとえられる。同じく身の回りの生活廃品などを使用、さわり行為をなす。即興演奏では、ソロのほか国内外の多くのミュージシャンとセッションを重ねる。一方で、知久寿焼、青木マリ、須山久美子など個性的なシンガーとの共演も持つ。またアキビン吹奏、アキビンオオケストラを主催。他に山本信記とのトランペットデュオ、15秒から1分ほどの曲をつらつらならべるOMM-pah 同じく、山本とオルガンの喜多村朋太とのチェンバースカバンド、POPOでの活動がある。最新のリリースは木下和重、大蔵雅彦とのKENON(Creative Sources Recordings, cs 028)。神戸在住。

大友良英
1959年生まれ。ターンテーブル奏者/ギタリスト/作曲家。現代 音楽や即興、ノイズの分野における欧米での評価は高い。 ノイズやフィードバックを多用した大音量の作品から、 音響の発生そのものに焦点をあてた作品に至るまでその幅は広く、 近年はジャズの作品や歌をテーマにした作品も多く手がける。 最新作は「OTOMO YOSHIHIDE’S NEW JAZZ ORCHESTRA/Out to Lunch」、 「Guitar Solo」「Filament BOX」等。 また映画音楽家としても田壮壮監督「青い凧」等の中国映画から 相米慎二作品,テレビドラマの音楽に至るまでを手がけ、 その作品はベルリンやモスクワ等数多くの映画祭で各賞を受賞。 近作は安藤尋監督作品「blue」、田口トモロヲ監督作品「アイデン &ティティ」塩田明彦監督「カナリア」, 長崎俊一監督「闇打つ心臓」、 NHKテレビ「クライマーズハイ」等。 武蔵野美術大学、東京芸術大学、映画美学校等での特別講義も受け持つ。 

林加奈
1973年生まれ。幼少時、「あなた音痴ね」と言われ、大好きな歌を長く中断。中高時代は演劇部。東京芸術大学で油絵を学ぶ。様々な玩具を使った音楽活動、即興で歌うなどの独自の音楽活動を展開。ハナナガ星人などの絵画作品を発表する。2005年より、京都女子大学講師(保育での音楽)。学校などで、絵画ワークショップも行う。

森本アリ
極めて雑多に音楽を続けた結果、ゲームボーイ、口琴等はそこそこの評判。奇妙な楽器好き、楽器でないものを楽器にするのも好き。ゲームボーイのみの電子音響家族「ファンクラブオーケストラジャパン」、ほっこり系爆裂ブラスバンド「三田村管打団!」(トランペット奏者として精進中)、牧歌的ローファイ電子デュオ「口八丁」等でのライヴ活動の他、「DJアリマイラブ」として、など多岐に渡って活動中。 

出演者
江崎將史 大友良英 林加奈 森本アリ

うどうあやこ 岡明宏  奥成雯禾 後藤佑太 新内佑豪 鈴木勝  富阪友里 永井崇文 沼田里衣 濱翼 原山つぐみ 平木誉大 藤田大輔 藤本優 三好佑佳 森大生 吉崎章人  吉見理治 若尾久美

企画
沼田里衣 飯山ゆい 犬塚拓一郎 寺尾孝太 野村幸弘 服部智行 原真理子 本間知子 三宅博子 吉村健作

主催:音遊びの会
共催:明治安田生命保険相互会社  エイブル・アート・ジャパン

協賛:TOA株式会社

【スタッフ】
飯山ゆい(ケア、記録ほか)
相愛大学をピアノ専攻で卒業。現在は神戸大学修士課程にて、美術家ヨーゼフ・ボイスのパフォーマンスにおける音楽的側面について研究している。美術館、ギャラリー巡りが好き。

犬塚拓一郎(ケア、記録ほか)
琉球大学学部時代は心理学を勉強し、学内のミュージカルで役者として、また編曲担当として参加。現在は神戸大学修士課程にて作曲を勉強中。南に行くと一ヶ月くらい帰ってこない。癒し系。

 

鈴木勝(バンジョー、アコースティックギター他)
バンジョーという楽器を多様な音響を発する物体としてとらえ直すアプローチ で、またギターや小物類なども用いて即興演奏に取組む。ウッドベースとの デュオ、anjob-assb(アンジョブ・アスビー)などで活動。自宅録音活動では、’05 年劇場公開作品『アナライフ』で、映画サウンドトラックの 制作を経験。

寺尾孝太(ピアノ、サックス)
高知大学教育学部芸術文化コースの音楽を卒業。在学中に即興演奏に興味をもち、現在は神戸大学大学院修士課程でイギリスの即興演奏家で教育者でもあるジョン・スティーヴンスの活動を中心に研究している。即興や音楽を通して様々な人と交流できることを楽しみにしている。

沼田里衣(ピアノ、企画・代表)
神戸大学博士後期課程で、音楽療法の研究を行う。知的障害者を対象とした5年の臨床経験をもつ。国内外でフリー・インプロヴァイザーと呼ばれる音楽家と共演した経験ももつ。

服部智行(映像)
上智大学文学部哲学科卒業後、映像機器関連会社での勤務と平行して、映画美学校にて映画制作を学ぶ。障害を持つ人とアートの現場に関心を持ち、多くの取材を重ねる。これまでのドキュメンタリー作品は「citylights」、フィクションでは岩井俊二氏プロデュースの脚本「少女毛虫」など。

原真理子(ケア、広報ほか)
ニューヨーク州マンハッタンビル大学卒業後、教育産業での3年半の勤務を経て、現在は神戸大学修士課程にて高齢者を対象とした音楽療法について研究中。身近なものを使った手作り楽器についても研究中。

平木誉大(ジャンベ)
体の芯に響く生の音に魅せられ、ジェンベに巡り会う。シン(芯、真、心、身、進、新、信、伸、慎、深、親、辛?)のある音を出せるようになりたいと日々過ごす。学生のときに一年間、共同作業所で働いた。

藤田大輔(シンセ、他)
神戸大学修士課程在籍。広島大学時代から、バンドのリーダーとして活躍。現在も即興演奏について研究を続け、関西や広島を中心に演奏活動に参加。シンセサイザーを自由に操る。

本間知子(ケア担当)
京都女子大学教育学科卒業後、重複障害児教育教員養成課程で1年学び、大阪府障害 者福祉事業団の金剛コロニー(知的障害者入所総合援護施設)に就職。10年の生活 支援の仕事のあと、音楽支援員として今年13年目。知的障害がある方々に関わる仕 事は3月で丸23年になります。フルタイムで働く3児の母でもあります。大阪社会福祉士会児童家庭相談班所属。

三宅博子(クラリネット、ケア)
大阪音楽大学音楽学部卒業後、重症心身障害児施設で保育士として経験をつむ。現在は神戸大学博士課程に在籍。あだ名は「ひろぴー」。だが調子に乗って言い過ぎると「ぴーぴー言うなっ。」と怒られる。

吉崎章人(ギター、他)
ギタリスト。神戸のライブハウスBig Appleで先端音楽実験会の仕切り人を務める。アコースティックギターや様々な音具を用い、自身の方法論をもって即興演奏を行っている。

若尾久美(バイオリン、会計)
東京芸術大学大学院卒業。97年よりコンサートとCDレーベルのメゾスティックスを開始。広島で「ジョン・ケージコンサートシリーズ」を5回開催する。即興は主にヴァイオリンで、様々な演奏家との共演を行う。猫が大好き、車の運転はちょっと苦手。

ワークショップ記録
1/8 1/15 1/22 2/5 2/12 2/19 2/26

 

 

 

更新日 : 2006.03.05

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